くるまのなかで
「とにかく、今年も猛暑だ。昔と違って“ぶっ倒れるから子供はあんまり外に出るな”っつー時代になってる。そうなると子供はテレビ見るかゲームするか、だ。必然的にエラーも増える。そしてうちへの問い合わせも増える」
「はい」
「繁忙期の中でも特にクレームの多い夏だ。小林はSTVでは初めてだろうが、しっかり研修を受けて、しっかりセンターを運営してほしい」
「はい。頑張ります」
清香先輩たちの研修も、もうほぼ終わった。
これから実際の業務に慣れてもらって、夏休みが始まる前に一人前のコミュニケーターへと育ってもらわないといけない。
人員が増える分、シフト管理やその他の雑務も倍増する。
私の繁忙期は、すでに始まっているのだ。
本当に日曜日に休みが取れるかは、きっとギリギリまでわからない。
でも、休みを取ることを目標に、余裕を持った仕事をしよう。
奏太のおかげで意識が変わって、最近はいい調子で仕事を回せているのだ。
そのご褒美を「奏太とのデート」という形にできるなら、ものすごく頑張れる気がする。
私にとって、奏太の存在は偉大だ。