くるまのなかで

翌日、いつもより少しゆっくり昼頃に起きた私は、今夜のデートに向けてゆっくり準備を始めた。

お風呂にゆっくり浸かって疲れを取り、スクラブで体を磨いたり、脚のリンパマッサージをしたり。

浴室を出てからはボディクリームを入念に塗った。

スキンケアもスペシャルケア用のフェイスマスクを使う。

服はいつも仕事に着ていくものより少しだけカジュアルで。

手触りのいい白のカットソーに、仕事でも履いている黒のクロップドパンツ。

冷房対策にグレーの薄手ニットを羽織る。

デートなのにモノトーンって……と我ながら思ったけれど、こういう服ばかりなのだから仕方がない。

せめてロングネックレスくらいは巻いて行こう。

メイクでは、普段使わないチークを使ってみた。

それだけで、自分がまあまあ女っぽい顔になったような気にはなる。

いつもは梳かすだけで基本的には洗いっぱなしの髪も、少しだけ巻いていい香りのするヘアワックスでセット。

約束の時刻まで時間がたっぷり余ったので、しばらく手を付けていなかったネイルをファイルで整え、シャイナーで磨いた。

やっぱり恋の力はすごい。

私の女子力なんか枯れ果てたと思っていたけれど、いざという時はちゃんと発揮できるんだ。

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