くるまのなかで
それから数日。
私は来月の上旬にSTV本社で受講する研修と、その代休に向けて必死に働いた。
無事に日曜日に代休を取ることができれば、奏太と一日一緒にいることができるかもしれない。
それをモチベーションに、毎日いつもより遅くまで残業をした。
頑張った甲斐あって、無事に休みが取れそうだ。
私は仕事終わりの車の中で、メッセージを作成した。
『7月の最初の日曜日、奇跡的にお休みが取れそうです。予定は空いてますか?』
送信。
思いは通じ合ったけれど、私たちはあれ以来、まだ一度も会えていない。
ただでさえ生活リズムが合わないのに、私が遅くまで仕事をしていたから仕方がない。
毎日同じ時間に同じ場所へ通っていた高校時代とは違う。
私は独り暮らしだから部屋に来てもらってもいいんだけど、今の段階で私から「おいでよ」と言うのは露骨に先日の続きに誘っているみたいだし、奏太は独り暮らしではないと言っていたからたぶん実家住まい。
今が一番ハッピーな時期のはずなのに。
大人の恋愛って難しいし、寂しい。