くるまのなかで




高速を下りてしばらく行ったところで、通称「アウトレット渋滞」にハマった。

モールの近くまで来て、駐車場待ちの列に並べたのが到着予定時刻を過ぎた午後4時。

実際に駐車場に停められたのは、午後4時半を過ぎた頃だった。

日曜日のアウトレットをナメていた。

2000台以上停められる駐車場があるのに、こんなに並ぶなんて……。

しかしこの時間になるとファミリー層は帰路につくようで、駐車場に入ってからは彼らと入れ替わる形でスムーズに車を停めることができた。

財布と携帯のみを入れた小型のショルダーバッグを肩に掛け、車を降りる。

ここから店舗まではしばらく歩く必要がある。

車と車の間を抜けて、より安全な歩道へ。

しばらく歩いていると、20メートルくらい先に、左からこの歩道を横切る親子が見えた。

若いお父さんと、5歳くらいの男の子。

手を繋いで歩いている。

彼らを見て、違和感を感じた私は思わず足を止めた。

心臓がいやに強く鼓動する。

脳が全身に警鐘を鳴らしているのか、体が前進することを拒んでいる。

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