くるまのなかで
私がSV職に就こうと思ったのは、「リーダーとして活躍できる仕事をしたい」と思ったからだ。
複数の人間をまとめてプロジェクトを動かすリーダー像には、憧れがあった。
私は高校時代、学園の生徒会長を務めた。
前章に記した理由(顔が云々)から、担任の野中先生に無理矢理立候補させられたのだ。
選挙にはもう一人、同じクラスの男の子が立候補したのだが、幸か不幸か見事に私が当選。
当時は学園の特色もあって全然うまくいかず、理想のリーダー像とはかけ離れた会長だった。
カッコよく、スマートかつスムーズにイベントを成功させたかったけれど、私はいつもあたふたして、イベントを定刻通りに始めて定刻内に終わらせるだけでも精一杯だった。
それを悔しいと思っているし、ああすればよかったこうすればよかったと、今でも未練を感じている。
だから「今度こそは上手くやりたい」という気持ちは今でも常に持っている。
志(こころざし)高くこの仕事を始めて5年。
残念ながら、今でも私の理想とはほど遠い。
スマートと呼ぶには必死すぎるし、スムーズにはいかないことの方が多い。
正直、毎日キツい。
私はこの仕事を続けていけるほどの能力や適正に乏しいのかもしれない。
いい年してこんなこと会社では口に出せないけれど、密かにそう思っている。