くるまのなかで

ある日、学校帰りに一人で買い物をしていた帰り道のこと。

悪い意味でライバル校と評されていた高校の制服を着ている、ガラの悪い男子生徒3人に声をかけられた。

ナンパという形である。

東峰学園の無駄に可愛い制服を見て声をかけてきたのは明らかだった。

「最近やたらとうちの女子生徒に声をかけている奴らがいるから気をつけろ」

と学校でも注意を受けた矢先のことだったので、私は無視をしてバス停へ向かって歩いた。

しかし男たちは「遊ぼう遊ぼう」としつこくつきまとってくる。

「いい加減にしてほしいんだけど」

さすがにイラついて声を出すと、男のうちの一人が軽い感じで乞う。

「お願い。徳井が来るまででいいんだって」

「徳井?」

「そうそう。あいつ、俺らが呼び出しても来てくれないからさぁ」

だから同じ学校の私をダシにして呼び出そうという魂胆らしい。

呼び出して何をしようというのかは不明だが。

「私、そんな人知らない」

実際知ってはいるけれど、全く関係ない男である。

「同じ学校でしょ? 有名っしょ? 知らないはずないって」

「知らない。私には関係ない」

「お願いお願い。ほんと、来るまででいいからさ」

何なの?

どうして私があんたたちなんかに協力しなきゃいけないの?

自分たちの都合ばかり押し付けて、他人へ迷惑をかけることに何の抵抗もないの?

これだから不良って嫌い。

うちの高校の奴らも含めて、滅びれば良いのに。

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