不良の俺とクールな後輩
一生忘れねぇよ
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「ハルの話ですか?」
「うん。聞かせて欲しい。」
「どうしたんですか、急に。」
麻耶の声がちょっと冷たく聞こえた。
俺達が座りこんで話しているのは昼休みの中庭
いつものように中庭で昼飯を食べる俺のところになぜか麻耶が来て、気づけば2人で飯を食べていた。
いや、もちろん嫌とかじゃないしどちらかと言うと嬉しいんだけど
「裕也先輩がいないと寂しいと思って!」と言った麻耶の言葉に俺は複雑な気持ちになった。
せっかく裕也のことは考えないようにしてたのに
そりゃないぜ……
だけど麻耶はそんなことは全く気にしていないらしく、俺が「ハル」というワードを出すと急に顔がこわばった。
表情は険しくなり、手が左耳にあるピアスの穴に触れた。
「ハルがどんな人間なのか、とかさ。」
「う〜ん。」
俺が知っているのは「ハル」は麻耶の元彼で、麻耶の家族と一緒に住んでいたこともあること
黒髪で、麻耶や大輝と同じように左耳にだけあるピアスの穴
ただそれだけ
「私が初めてハルに会ったのは小学生の時です。
ハルは大輝と同い年で2歳上なので、当時は中学生でした。」
麻耶は耳から手を離して少しだけ笑った。