不良の俺とクールな後輩
「いっけない!次私達小テストあるんですよ!」
その姿は、1週間前のことなんか感じさせない真面目な女子生徒で
「あ、ああ…特進も大変だな…」
「先輩、また1週間前のことは改めてお話させて下さい。」
麻耶はそう言ってちょっと頭を下げて走って行った。
それを見届けて俺は頭を抱えた。
俺は、何でこんなダメなんだろう…
「お前の彼氏か?ぐらい、聞けただろ……」
分かってる
俺は聞けない
そんなこと、怖くて聞けない
だって、左耳のピアスといい大輝ってリーダーは麻耶の元彼氏だ。
別れたって言っても、今でも仲がいいように見えた。
「俺なんか、始めっから……」
眼中になかった、なんて寂しすぎる
あのグループに入れるぐらい、強い麻耶に俺は始めから釣り合わなかったんだろう。
なんで麻耶を好きになったのかは分からない。
まだ会ってから日も浅いし、特別長く話したこともない。
何度も裕也に指摘されたけど、自覚したのだってつい最近。
金髪の大輝ってやつの人をバカにしたみたいな笑いが頭に浮かんだ。
「……諦めろっていうのかよ。」