不良の俺とクールな後輩
そもそも俺は、今まで女子と関わったことがあまりない。
男子でさえ、大抵みんな怖がって俺に近づかない。
そんなだったから、この女子がこんなに関わってきたのが俺は半分信じれずにいた。
「…でもまぁ、タバコはあまりおすすめしません。」
女子はペタンと俺の前に座り込んだ。
よく見ると、結構可愛い…方だと思う。
髪はまっすぐで肩ぐらいまでで、たぶん身長は俺の肩よりちょっと高いぐらい。
第一印象は、特進科らしく真面目そう。
ただ1つ、俺が違和感を感じたことがあった。
(目が、なんか……)
この女子の目は他の女子達に比べてとても鋭くて冷たい。
クール系でツンとした奴ならいるけど、そんなの比較にならないぐらい。
どこか冷たくて何かを諦めたような、そんな目だった。
そんな目に遭遇することは俺でもあんまりなくて、自然に体が強張った。
「…俺は、吸ってない。」
「うん。そうだと思います。」
ちょうどその時チャイムが鳴って、女子がその後言った言葉は俺には聞こえなかった。
『あなたからタバコの匂いがしないから。』
「なんて言った?聞こえなかった。」
「いえ、何でもないです。」
女子は突然立ち上がると俺にペコッと頭を下げた。
「私、遅刻したんです。」
ああ、だから鞄を持ったままなんだ。
俺が「こいつ何言い出すんだ」って顔をしてたんだと思う。
「なので、近道して中庭を通りました。ゆっくりする時間を邪魔してすいませんでした。」
やっぱり何のことを言ってるのか分からなくて
俺はまた首を傾げることになった。
「だけどいつもみんな、中庭は怖くて近づけないって言ってました。」
「ああ、だろうな。俺の仲間とかもよくここに来るから。」