不良の俺とクールな後輩
そこは屋上だった。
立ち入り禁止だから誰も来ない。
屋上は中庭の次に俺の好きな場所で、昼休みに集まりのメンバーで集合して騒いだこともあった。
授業をサボりたいときも何度か裕也と一緒に来たりした。
「嘘、だよな……?」
裕也が学校を辞めたって事実を飲み込んだと言っても、納得できるわけがなくて
朝の真っ青な空が妙に綺麗に見えて、俺は余計に虚しい気持ちになった。
1言、言ってくれても良かったんじゃねーか?
何も、黙って辞めちまうことはなかったんじゃねーか?
裕也が帰ってくるわけもないけど、そう思わずにはいられなかった。
〝ユキ。お前は、俺の友達だよな〟
最後に聞いた裕也のその言葉が急に懐かしく感じた。
あの時、お前は何が言いたかったんだよ
俺に何か伝えたかったんじゃねぇのかよ
ふざけんじゃねぇぞ
「ふざけんじゃねぇぞ!」
こんなに大声を出したのは初めてかもしれない
裕也にはもちろんだったけど、俺自身にもそう思った。
裕也がこうなる前に俺にも出来ることがあるはずだった。
「何でだよ……」
あの、闘争があった日から
神崎先輩が意識不明になってから
俺の中で、周りで、何もかもが変わり始めていた。
いつまでも楽しいこと全てそのままなんて、ありえないってこと分かってたけど
それを目の当たりにすると簡単に受け入れることなんて出来なかった。
自分がこんなに弱い人間だったんだって、改めて思い知らされた気がした。