不良の俺とクールな後輩
でも女子たちは意外に歩くのが早くて、気づいた頃にはもう教室の側まで来てしまっていた。
「明日の朝って小テスト何があったっけ?」
「ほらあれ、化学基礎だよ。」
「あ〜、あそこ嫌いなんだよね。molとかさ。」
「そう?私結構得意だよ。」
今教室は電気もついてなくて、今出て言ったら絶対びっくりさせる。
俺はそう思って女子達が通り過ぎるまでやり過ごすことにした。
でもだからって隠れるとかは違う気がして、1人うろうろと歩いてみる。
……余計不審者か
そう思ってる間にも女子達は遠のいて、廊下の角を曲がったらしかった。
「……よし、帰ろう。」
そう思って顔を上げた時、俺はまた立ち止まることになった。
そこには麻耶がいた。
ちょっと息を切らして肩で息をして、じっと俺を見つめている。
「ユキ先輩?さっき、見かけて……どうかしました?」
ああ、さっきの女子達の中に麻耶もいたんだ。
「……教室の中にユキ先輩がいるってすぐに分かったんですけど、友達もいる前で話しかけたら嫌がるかと思って。
でも戻って来ちゃいました。」
麻耶はそう言いながら教室に入って来た。
夕日は沈みきってもう窓の外は暗かった。