不良の俺とクールな後輩

でも女子たちは意外に歩くのが早くて、気づいた頃にはもう教室の側まで来てしまっていた。




「明日の朝って小テスト何があったっけ?」




「ほらあれ、化学基礎だよ。」




「あ〜、あそこ嫌いなんだよね。molとかさ。」




「そう?私結構得意だよ。」




今教室は電気もついてなくて、今出て言ったら絶対びっくりさせる。



俺はそう思って女子達が通り過ぎるまでやり過ごすことにした。



でもだからって隠れるとかは違う気がして、1人うろうろと歩いてみる。





……余計不審者か





そう思ってる間にも女子達は遠のいて、廊下の角を曲がったらしかった。




「……よし、帰ろう。」




そう思って顔を上げた時、俺はまた立ち止まることになった。




そこには麻耶がいた。



ちょっと息を切らして肩で息をして、じっと俺を見つめている。




「ユキ先輩?さっき、見かけて……どうかしました?」




ああ、さっきの女子達の中に麻耶もいたんだ。




「……教室の中にユキ先輩がいるってすぐに分かったんですけど、友達もいる前で話しかけたら嫌がるかと思って。

でも戻って来ちゃいました。」




麻耶はそう言いながら教室に入って来た。




夕日は沈みきってもう窓の外は暗かった。





< 87 / 107 >

この作品をシェア

pagetop