不良の俺とクールな後輩
「……どうかしました?何か、悩んでますか?」
なんで麻耶は、俺がいつもと違うって分かるんだろう
麻耶の顔を見て俺は自分の中で何かが切れたような気分になった。
もう我慢、できない
「……裕也が、さ。学校辞めたんだ。」
「え……」
麻耶がどんな顔をしてるのか、暗いせいでよく分からなかった。
「今日、急に。俺に何も教えてくれなかった。気づいたら、いなかった。」
もちろん裕也が何も言ってくれなかったこともショックだったんだけど
もっとショックなのは裕也が1人で仇をとりに乗り込んでいったこと
俺に頼ってくれなかったこと
「……何があったんですか?聞いてもいいんでしょうか。」
麻耶になら話してもいい
俺は無意識にそう思っていた。
麻耶は不良グループに出入りして、男にも負けないぐらい喧嘩も強い
そんな麻耶ならちょっとは分かってくれる気がした。
俺が今までのことを一通り話して聞かせると、麻耶は驚いたように目を見開いた。
「それはつまり……裕也先輩が不良グループを呼び出して、1人で乗り込んで行ったってことですか?
そこで返り討ちにあって……」
そのまま学校を辞めてしまった
その裏にどんな事情があったのか俺は知らない
何も聞いてやれなかったし、何の力にもなれなかった。