不良の俺とクールな後輩
「っ俺は、中学の頃からあいつの側にいたのに……!」
悔しかった
あの日、裕也が何かを思い詰めてるっていうのには気付いていた。
だけど気まずいってだけで声をかけてやれなかった。
「俺は……!」
もう涙を止めることが出来なかった。
俺が人前で泣いたのは初めてだったと思う。
麻耶はただ俺の側でじっとしていた。
「俺は「ユキ先輩。」」
麻耶の声が静かに響いた。
「……自分を責めても無駄です。こういうことは、よくある事です。」
「……」
よくあること、という言葉に俺は切なくなった。
「……麻耶は、経験したことあるのかよ。」
仲間が、大切な仲間が気づいたら側にいなかったっていう経験
あるとすれば、それはきっと「ハル」のことだ。
元彼の、「ハル」
俺はそう思った。
「……ありますよ。」
麻耶の声が静かに響いた。
「前話した、ハルのことです。」
麻耶は少し笑った。
だけどそれはとても寂しそうな笑顔だった。
「ハルはね、責任を感じたんですよ。」
「責任?」
「はい。」
麻耶は静かに頷いた。