不良の俺とクールな後輩
「自分は何もできなかったって責任を感じて、どこかに行っちゃったんです。そんなことなかったのに。」
麻耶のため息を聞いて俺は顔を上げた。
「裕也先輩もハルみたいに責任を感じたんだと思います。
自分は何も出来なかったって、今度こそはって、挑んでいったんだと思います。」
それが、俺が居合わせたあの放課後だった。
裕也はいつもふざけた奴だったけど、人一倍仲間想いだった。
俺も裕也に裏切られたことなんて一度もなかった。
そんな奴だから、神崎先輩や他のやられた仲間達の復讐だと思ったのかもしれない。
「だけど、それなら麻耶のグループを襲わないか?」
俺達のグループを襲ったのは麻耶の兄、大輝のグループだ。
だけど裕也が挑んで行ったグループは全く違った。
もし傷ついた仲間達の復讐だと言うんなら大輝のグループを呼び出したはずだ。
しかし裕也を殴っていたのは黒髪で背の高い男のグループだった。
「……祐也先輩もユキ先輩も鋭いですよね。」
麻耶は急に椅子から立ち上がった。
俺が驚いてそれを見上げると、麻耶はカバンから携帯を出してきて俺に見せた。
「この人。」
俺が携帯を覗き込むと、それは写真だった。
金髪に染める前なのかまだ黒髪で幼い感じが残る大輝と、もう1人。
「……え?」
もう1人の男に俺はどこか見覚えがあった。