不良の俺とクールな後輩
俺は別に
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麻耶の家の門がゆっくりと音を立てて開いた。
「どうぞ。」
麻耶の声に引っ張られるように俺は一歩踏み出した。
門から玄関まで歩いている途中、突然扉が開いて明るい金髪が目に入った。
「……おかえり。」
「ただいま、お兄ちゃん。」
大輝は俺を見て少し強く息をついただけで何も言わなかった。
きっと学校から帰るまでの間に麻耶が連絡したんだろう。
「……話しちまうのか。」
「うん。いいでしょ。」
「麻耶がいいんだったらいいんじゃねぇか。」
大輝は睨むように俺を見た。
「だけど、全部は話すな。」
「うん。」
麻耶は靴を脱ぎながら頷いた。
「支障のないことだけだ。俺達だけの問題じゃねぇからな。
それと、親父とお袋が帰ってくるまでにだ。」
「今日帰ってくるの!?」
俺は靴を脱ごうとしたところで驚いて顔をあげた。
麻耶の顔が輝いている気がした。