不良の俺とクールな後輩
普通は、初めから入るのが決まっているなんてあり得ない。
俺も裕也も、神崎先輩とたまたま知り合ったから集まりに参加できている。
始めから決まっていたとすれば、それは……
「先輩、この家を見て親が社長か何かかって言いましたよね。」
俺は麻耶を見た。
麻耶の言いたいことが分かる気がした。
「私達の両親は暴力団のトップと、その妻なんですよ。」
「ぼ、暴力団………」
それを聞いて俺は何も言えなかった。
「私達のグループも、ハルのグループも、親元は両親の暴力団です。
私達のグループで強くなって認められたら、ハルのグループに移ります。
グループはいくつかあって私達の下にもハルのグループの上にも、段階があります。
ほとんど年齢で決まるんですけどね。」
麻耶の話では、暴力団を親元とする不良グループは大きく分けて4つ。
1番下の中学生や高校生が多いグループ
高校生でも強い奴や大学生が多い麻耶達のグループ
本格的に暴力団への入団が見えてくるハルのグループ
入団してすぐの団員が集うグループ
その中を強い者はのし上がり、弱い者は消えていく。
4つのグループの先に待っているのは、団の幹部の席だった。
「大輝は私達のグループのトップだから、高校を卒業したらハルのグループに移ります。
……将来は家を継ぐんだって、そう言ってました。」
「ハルは……」
頭の中を整理しようと思って声を出したものの、続けられなかった。