EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「あれ…?」
きちんと整頓されたオーレリアンのデスクの上に、先程の血液サンプルと同じ容器を発見。
手に取ってラベルを確かめると…。
「O-J-F3722…。これだ!きっとそうだよ」
一つだけポツンとデスクに置かれていたことから、持って行こうとして忘れたのだろう。
「良かった。後はこれを届ければいいんだよね」
小鳥は容器を大事に握り締めると玄関ホールへと向かった。
廊下を歩き、階段を下りながら、ふと思う。
(私、一人で外に行くの…初めてかも)
大広間を小走りで通り過ぎ、玄関ホールへ。
「えっと……エレベーター使うには…」
家のドアであるエレベーターの前に立つと、小鳥はポケットからピンク色の薔薇の指輪を取り出した。
そして、エレベーターを囲っている門の窪みにその指輪を押し付ける。
(これで、大丈夫なはず…)
緊張しつつ待つ小鳥に応えるように、ギィーッと音がして門が開かれた。
「やった!」
素早く乗り込み、エレベーターのドアを閉める。
動き出したそれに乗って、小鳥は緊張をほぐそうと大きく深呼吸した。