EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

小鳥の血が入った採血管は、オーレリアンの白衣の内ポケットに収まっていた。

自分のが代用になればオーレリアンの悩みを一つ解決できるのではと思ったのだが、小鳥の思いは見事に切り捨てられた。


「ダメ。無理。使えない」

「あう…」

「あのサンプルはAランクだったんだよ。お前、確かBでしょ」

「え…?B…?」

「血液のランク。Aが最高。Bが普通。Cは飲めたもんじゃない」

オーレリアンはまだ理解しきれていない小鳥の顎を指で上向かせた。

二人の視線が至近距離で交わる。


「お前は顔と同じで血の良さもBランクの“普通”なんだよ。それがAランクの代用品になろうなんて無理だから。身の程を知りなよ」

彼の青い瞳に蔑まれ、なぜか小鳥の全身にゾクリと鳥肌が立った。

恐怖からか、はたまた別の「何か」か――。


考えている間にオーレリアンの指が離れた。

「いい?絶対に席を立つなよ?Bでも吸いたいっていう酔狂はウヨウヨいるんだ。僕の視界から消えたら許さないから」

「は、はい」



こうしてその日、小鳥はオーレリアンの教える「死者とクローン」の講義を受けることとなった。




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