EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
夕日を背中に浴びながら、枯れた木々しかない荒れた庭園をキョロキョロと見回しつつ、洋館の入口まで歩いた。
二階建ての巨大な屋敷。
外観はイギリス貴族が所有する城館のようで、ちゃんと手入れがなされていればさぞかし魅力的だったことだろう。
涼子はかなりの金持ちが建てたに違いないと思った。
「えっと懐中電灯は――お、あった」
「ドア、開くかな?」
開かなければいいと内心強く思いながら涼子が囁く。
「開くだろ。門だってすんなり開いたし」
孝介はポケットから取り出した小型の懐中電灯で明かりを確保し、ドアに手をかけた。
お決まりの如くギイーッとドアが軋み、二人の心拍数が上がる。
彼らを招き入れるかのように開いたドアの先は、暗闇。
二人は恐る恐る踏み出した。
闇の中へ。
すると…。
――バタンッ
二人が完全に闇に呑まれたところで、半開きになっていた玄関のドアが自動で閉まり、館の中に彼らの姿は消えた。
――うわああぁー!!!
――きゃあああっ!!!
中から悲鳴が聞こえる。
その後、二人が館から出て来ることはなかった。