EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
まだ彼の頬はほんのり赤かった。
気づかない振りをして視線をそらすと、ルカが唐突に言い出した。
「ねえ、変なこと聞くけどさ……俺の顔、にやけてない?」
質問に答えるべく、まじまじと彼の綺麗な顔を見つめる。
「にやける」というよりは「照れている」の方が正しいような気もするが、通常の表情ではないので、とりあえず小鳥は頷いておいた。
「少しだけ」
「……マジで?あぁー…ゴメン。直す」
そんな会話をしつつ、廊下の奥にある大きな階段を上がる。
「あっそうだ!荷物、俺が持つよ!気がきかなくてゴメンッ」
「大丈夫ですよ。自分で持てますから」
「いいから。貸して」
問答無用でスポーツバッグを取り上げられる。
申し訳なく思ったが、バッグを奪還できるとも思えない。
小鳥はルカに甘えることにした。