EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


 さて、洗濯も一段落し脱衣所から出て来た小鳥。

自分の部屋に戻ろうとしていたら、廊下でバッタリカロンと出会った。


「あ、小動物」

「カ、カロンさん…」

小鳥の声が上擦る。

理由は、カロンが肉食ペットを連れていたからだ。


「何を、してるんですか…?」


首輪をつけられた黒ヒョウ二匹に注目しながら尋ねる。


「何って、ペットの散歩」


平然と答えたカロンは二匹の首輪に繋がっている鎖を引っ張ってみせた。

「ペットって、一匹じゃなかったんですね…」

以前ガブリエルなる黒ヒョウに居間で襲われかけたのを思い出す。

「そ。二匹いんの。ガブとアブ。ガブとは前に会ったよな。アブディエルは初めてか」

瞬間、アブディエルのぎらついた瞳と視線がぶつかる。

睨まれたような気がして小鳥は身を竦ませた。


「さてと、戻るか」

ビクビクしながら立ち往生していると、カロンがすぐ横にある部屋のドアを開けた。


< 239 / 505 >

この作品をシェア

pagetop