EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

苦しい。

息ができない。

助けて、と。

誰にも言えずに飲み込んで、誰かに心の救済を求めるのも諦め自身を殺した。

それからだ。

クローンの研究に打ち込むようになったのは。

無邪気だった少年は、ズタズタに傷ついたまま必死で罪を贖おうと躍起になった。

そして今も彼はその延長線上にいる。


「オーレリアンさんは…悪くないです」

「ハッ!言うと思った。そういうのウザイんだよ。今更、慰めの言葉なんていらないし。心になんか響かない」

毒舌を撒き散らしながら手で涙を拭うオーレリアン。

気丈に振る舞おうとする彼を見て、小鳥は抱きしめる力を更に強くした。


「けど…やっぱり……オーレリアンさんは悪くないと……私は思います」


自分の偽りない気持ちを伝えたい。

腕にギュッと力をこめると、オーレリアンの身体はビクリと震えた。


「思えば………久しぶりだ」


小さな呟き。

「何がです?」

小鳥が丁寧に拾ってあげると、オーレリアンは幼子のような声で言った。


「誰かに……抱きしめられたの」



< 266 / 505 >

この作品をシェア

pagetop