EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


 それから、カレーを完食して満足した蜜莉は上機嫌で帰っていった。

さて、食事が終わったのだから洗い物をしなければ。

小鳥が流しに向き合いカレー皿を洗っていると…。


「小鳥」


キッチンのドアが開いてルカが入ってきた。

ルカは小鳥が一人なのを確認すると、どこかぎこちない雰囲気を漂わせながら彼女の隣に立つ。


「ルカくん、どうかしましたか?」

気になった小鳥がスポンジ片手に尋ねると、彼は視線を泳がせた。

「いや…ちょっと、その…小鳥に話があってさ」

話とは何だろうか。

小首を傾げる小鳥。

すると、ルカが瞳を潤ませた。


「オーレリアンが、ごめんな。傷、大丈夫…?」

「ルカくんが謝ることないですよ…!傷は大丈夫ですしっ」

どうやらルカはあの惨たらしい牙痕をかなり気にしているようだ。

小鳥に心配するなと言われても彼の心は落ち着かない。


「小鳥は大丈夫って言うけど…俺は大丈夫じゃないよ」


後ろから、そっと抱きしめる。

ルカは小鳥を自分の腕に閉じ込め、首筋に顔を埋めた。


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