EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「そうなんですか…。あれ?でもこの前、白魔さんはスタンプなんて押されてなかったような…」
「車で来たならそれがフリーパスになるよ。車体にクラヴィエ家の薔薇の紋章が入ってるから検問されずに済むんだ」
確かに、黒ヒョウが引く車体のドアに薔薇の文様が刻まれていた。
思い出して納得する。
クラヴィエ家とはかなり権力のある家柄のようだ。
「すごいですね。クラヴィエ家って」
「ああ…まあね。昔ジェラルドがここら一帯の自治を行っていたから、そのせいでね」
「ジェラルドさんが!?偉い人だったんですね」
「あんなの、ただの女タラシだよ」
どこか刺のある声で言う静理。
その時、駅から道なりに歩いてきた二人の視界に大きなスーパーが見えた。
「あそこかな?」
「はい!」
隣で頷く小鳥を確認し、静理が歩くスピードを速めようとした瞬間――。