EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「あら~、アルちゃんじゃない?」
前方から野太い声が聞こえた。
突然、静理の足がピタリと止まる。
「静理さん?」
小鳥も彼に合わせて歩みを止めた。
心配して顔を覗き込めば、静理は唇をギュッと噛み締めて目を大きく見開いている。
そして、微かに肩を震わせていた。
「やっぱりー!アルちゃんだぁ~」
先程の野太い声が再び至近距離で聞こえた。
小鳥が前を見ると、そこには妙ちきりんな格好の小太りな中年男性が立っていた。
赤やピンク、黄色に黒など様々な色のつぎはぎスーツ。
髪色も派手な金色に赤のメッシュ。
「久しぶりねぇ~、アルレッキーノ」
ハッキリ言ってイケメンとは程遠い顔立ちの男性が、静理を見つめてペロリと舌なめずりをする。
「静理さんの…お知り合い…?」
「そうなのよ~!アルちゃんとは深~い仲でね~」
謎の男性がニコニコ顔で答えるも、当の静理は固まったまま。
恐怖か緊張か、彼の額には冷や汗が流れている。