EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「そんなわけには…」
「いいんです。もともと私が無理に誘ったんですし…」
「…………なら、お言葉に甘えて…もう少しここで休んでいるよ。支払いはこれを使って」
静理は財布からカードを取り出すと小鳥に持たせた。
それを大切そうに握って食糧品売り場へ向かう小鳥。
彼女の背中を見送りながら、静理は盛大な溜息を吐き出した。
「ハァ………最悪だ」
地獄が見えた。
まさか偶然とはいえ「奴」に出会うとは。
確率的には低いだろう、大丈夫だと高をくくっていた。
心の内で勝手に「出会うわけがない」と決め付けていたのだ。
「アルレッキーノ、か…」
久しぶりに聞いた自分の二つ名に悪夢が甦る。
そのせいか、背中の傷痕が引きつった。
「……弱いな……俺は」
頭を抱えて自嘲めいた言葉を零した時。
「見ーつけた」
野太い悪魔の声がした。