EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「ハッ、やっぱりお前、頭足りないね」
「俺達が吸血鬼だからだよ。食べるのは人間なんだ。食事の光景を見て、君がショックで失神してしまう可能性だってある」
静理に指摘され、小鳥はゾクリとした。
彼らが血を貪る場面を想像して、顔から血の気が失せる。
「食べるっつーか、血を飲むんだけどな」
カロンが訂正するも、やはり気分は良くない。
「あれ?そういえばフェオは?もうすぐ晩餐なのにまだ寝てんの?」
姿の見えない兄をキョロキョロと探すルカ。
「さっき、サロンでまどろんでるフェオドールを見たよ」
白魔の目撃情報に、オーレリアンが歩き出した。
「僕が兄様を呼んでくるよ」
「毎度毎度、面倒な奴だよね。フェオドールって」
「白魔。兄様を悪く言うなっ」
「君ってさ、自分の毒舌棚に上げて、いちいち突っ掛かるよね。不愉快だよ」
長男と末っ子のいがみ合いを余所に、次男の静理は考えた。
「でも確かに、吸血鬼というものの本質を知ってもらうなら、食事の同席が一番手っ取り早いかもしれない」
独りで納得すると彼は晴れやかな表情で言った。
「うん。決めた。おいで小鳥ちゃん。一緒に食堂へ行こう」
恐怖に支配され何も言えない小鳥の背中を押して囁く。
「晩餐を始めようね…」