EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
ようこそ、吸血鬼の館へ
†††
「今日の欠席者は上原涼子と西川孝介だけだな」
朝のホームルーム。
二年二組の担任はいつも通り生徒の出欠を確認した。
「あいつら昨日、二人で例のホラー屋敷に行くって言ってたぜ」
「マジか。なら今日いねぇ理由って…」
「バーカ。本気にすんなよ。たまたまだろ」
そんな会話をする男子達をちらっと見てから、小鳥は視線を手元に戻した。
彼女の手には今朝届いた一枚の手紙が握られている。
――小鳥へ
お母さん、再婚することにしました。だから小鳥も新しいお父さんの家に住んでほしいの。住所はここに書いておくから、学校が終わったら向かってね。
お母さんより――
(唐突だよね…)
前々から再婚するかもとは聞いていたが、仕事先から手紙だけ寄越してこの指示だ。
(お母さん、いつ日本に帰ってくるんだろう…)
モデルの仕事でフランスに飛んでいる母親とは、半年ほど会っていない。
再婚相手も向こうで知り合ったフランス人らしいが…。