EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


 食堂にある大時計が午後六時の鐘を鳴らした。

なぜか食堂の椅子に座るなり縛りつけられた小鳥。


「どうして縛るんですか?逃げませんから外して下さい!」

身体を捻ってみるが、虚しくジャラジャラと鎖が鳴るだけで椅子から立ち上がることはできない。


「わりぃな。意識飛ばしてもかまわねぇから、縛られとけ」


カロンの意味不明な説得を受け、ますます不安が増大する。


(いったい、何が始まるの…?)


食事なのはわかるが、自分が縛られる理由が謎だ。


(よく映画や漫画に吸血鬼って出てくるよね?その食事とは違うの?)


人間の首元に噛み付き、血を啜る。

噛み付かれている相手の苦痛には同情するが、見てるだけなら失神なんてしない。

そう考えていた時、食堂のドアが開いた。


「待たせたね。連れてきたよ」

食事の支度をしに出ていた静理と白魔が「食糧」を運んで戻ってきた。


< 30 / 505 >

この作品をシェア

pagetop