EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「買われたって…静理さんが!?」
「うん。母親に売られてしまってね」
サラッと言ってのけた彼だが、その表情はどこか陰りがあった。
「俺の母は娼婦だった。一夜の客だったジェラルドと交わって俺が生まれて…。小さい頃は母親のいる娼館にいたんだけど、金がないからって理由で奴に売られたんだ」
少年期に人間に売られ、檻の中に閉じ込められた。
仕事用にアルレッキーノという名をつけられ、地上の闇を生き延びた。
「自分で言うのもなんだけど、俺は顔がいい方だから女性客から人気でね。俺の主な仕事は、少しだけ血を吸われてみたいっていうイカレタ人間の相手をすることだったよ」
言うことを聞かなかったり脱走を試みると太陽の下に曝される罰を受けた。
しかし、他の仲間と違い見目の好い静理は日の光を浴びせられることはなかったらしい。
その代わり、別のもので調教された。
「俺を支配していたのは奴のムチだった」