EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
微かに静理の声が震える。
「ムチは俺を支配する道具。今でもそう…。俺を忌まわしい過去に縛り付ける。けれど…手放せないんだ」
身をもって知ってしまったから。
ムチ打てば、他者を支配できるという事実に。
「痛みと恐怖に勝るものはないよ。本当に相手を自分の支配下に置いて跪かせたいならね」
自嘲気味に笑う彼の横顔を見ていたら、小鳥はだんだん悲しくなってきた。
そして、いつになく儚い静理の様子に不安を感じる。
「静理さん…ムチがトラウマなのに、いつも持ち歩いてますよね?大丈夫なんですか?」
「逆にとても安心するんだ。ムチを握っている自分こそが支配者の立場なんだってね。手放すと不安になる。……臆病なんだ。俺は…」
大きく息を吐き出すと、静理は小鳥と視線を合わせた。
「こんな過去があるから、ジェラルドに助けられて今の生活になっても俺は人間が大嫌いなんだ。人間なんて俺達にとってはただの食糧なんだから、闇人に支配されるべき存在なんだよ。正直、小鳥ちゃんのことも同じように考えていた」
冷たく言われ、小鳥の胸がズキリと痛む。