EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「きっと君達は小鳥ちゃんになーんにもしてあげてないだろうと思ってね」

素敵な笑顔の父親を探るように見てから、オーレリアンが鼻を鳴らす。

「嘘だ。父様がそんなことのためだけにわざわざ来るわけない。大方、商品が足りなくなったから調達しに来たんでしょ?」

商品とは人間のこと。

血の良さを保証した人間を食糧として売るのが今のクラヴィエ家の生業だ。

ジェラルドは度々、日本人の血を店の本拠地フランスに持って帰る。

向こうに日本人の血を好む常連客がいるらしい。

「ハハハー、さすがオーレリアン。聡いっていうのは時に罪だね」

「その言い方……図星ってこと?」

ルカが目を細めて問えば、ジェラルドは困り顔で笑った。

「確かに商品調達という目的もあるよ。仕事という名目だから私一人で来たのだしね」

「お母さんは一人で大丈夫ですか…?」

庇護してくれるジェラルドと離れていて、母親の身は安全なのだろうか。


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