EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
ガラガラと音を立てる大きな台車に乗せられて運ばれてきた人間は、気絶した女性が五人。
「オーレリアン、フェオは?」
「起こしたから、もうすぐ来るよ」
静理の質問に愛想0%で返すオーレリアン。
彼は白い手袋をはめると白魔からワインボトルを受け取り、小鳥の隣の席についた。
その様子を見て次男の静理はやれやれと溜息をつく。
「なら先にルカ、選んで。どの子がいい?」
「んー…どうしよう」
「オーレリアンさんは、いらないんですか?」
隣でワインボトルを開けている金髪少年に小鳥が恐る恐る尋ねると、イライラした調子で言われた。
「僕は見ず知らずの人間の肌になんか触れたくないんだ」
どくどくと、グラスに赤黒い液体を注いでいく。
「だからこれで済ませる」
「それは…?」
「見て察しろよ」
血のように赤い液体。
否、血の「ように」ではなく、まさしく人間の血なのだろう。
わざわざ手袋をつけて食事にあたる様子からして、オーレリアンは潔癖症のようだ。
「……おはよう」
突如、食堂のドアが開き、最後の一人が入ってきた。
「おはよう、フェオ」
ニッコリと静理が挨拶した相手はフェオドール。
ルカやオーレリアンと同じ眩しい金髪に、女性を虜にしそうな甘いマスク。
彼は気怠げに息を吐き、ちらりと小鳥を見た。