EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

感情のまま泣きそうになり、白魔の瞳が潤んだ。

しかし彼は小鳥から視線をそらすことなく手を差し出す。


「おいで」


愛を求めるように囁かれ、小鳥の足は無意識に動き出した。

ゆっくりと、白魔の傍に歩み寄る。

「小鳥…」

グイと手を引かれ、彼女は白魔のすぐ横に座らされた。

横長の椅子が二人分の重みを受け、ギシリと軋む。


「愛の夢、か…。僕はその“愛”の死に場所を探しているんだ」

耳にこびりつく、母親が好きだった甘いメロディー。

振り払いたいのに、音は止まない。

「音の渦に呑まれながら夢想してみても、愛の墓場が見つからないんだよ。どこかに葬りたいのに、結局まだここにある」

そう言って彼は自身の胸に手をやった。

「母上なんか……愛さなければ良かった…。愛情を求めなければ…楽だったのに…」


< 312 / 505 >

この作品をシェア

pagetop