EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「君が、櫻井小鳥?」
「あ、はい。そうです。初めまして」
「俺はフェオドール。よろしく、マドモアゼル」
ゆっくりと近くに歩み寄って来たフェオドールから甘い香りが漂う。
(この香りは…薔薇?)
よく見ると、彼のシャツの胸元には一輪の青い薔薇が飾られていた。
精巧なビスクドールにも劣らない上品で整った顔立ちのフェオドールには、薔薇の香りがよく似合う。
まるで貴公子のようだ。
思わず見惚れていると…。
「フェオドール、君を待ってたんだよ。早く席について」
すでに席に座って食事待ちをしている白魔が彼を急かした。
やれやれといった表情で大人しく席に着くフェオドール。
「じゃあ、いただこうか」
長男白魔の合図が、やけに明瞭に響く。
小鳥は反射的に目をつぶった。