EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ



――ガンッ!!


ルカが言い終わる前に、物凄いスピードで飛んできたナイフが壁に突き刺さった。

「うわっ!?」

ルカと小鳥の間に割り込む形で刺さったそれは、もちろん白魔が投げたもの。

ルカは驚きでバクバク鳴る心臓を押さえながら、グランドピアノの横に立っている長男を睨んだ。

白魔は悪魔的に笑い、仮面を外す。

「白魔さん…?」

「あんにゃろー!」

地獄耳か。

ルカが悪態をつこうとした時、ホールにヴァイオリンの音が響いた。

白魔の傍に立ち、仮面をつけたままヴァイオリンを弾き始めたのはフェオドール。

いつの間にか楽団が奏でるワルツは終わっていた。


(綺麗な音…。フェオさんの独奏かな?)


と思ったら、ピアノの上にカタンと仮面を置いた白魔が鍵盤の前に座った。

そして、彼の長い指が白と黒の舞台で踊り始める。

ヴァイオリンの旋律がピアノの伴奏に乗った。


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