EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「あ。この曲、あいつらの十八番じゃん」

ヴァイオリンが切なさを歌い、ピアノがほとばしる感情の熱さを低音で訴えかけてくる。

激しくてカッコイイ。

けれど繊細で、儚い。

そんな印象を受ける曲だ。

「ステキなメロディーですね」

多くの招待客に混じって二人の演奏に耳を傾ける。


息がピッタリと合う白魔とフェオドール。

演奏中の彼らはどこか艶っぽくて美しい。

指で軽やかなピチカートを響かせるフェオドールは、仮面越しに小鳥と目が合うと華やかに微笑んだ。

大勢の前だというのにかなり余裕そうだ。

「二人が組んで演奏会やる時、よくこれ弾くよな。タイトルは……なんだっけ?確かスゲー長かったような…」

ルカが記憶の引き出しを探っていると、第三者の声が聞こえた。

「“ほとんど協奏曲のように、きわめて協奏ふうに競って演奏される様式で書かれたヴァイオリンのオブリガートをともなうピアノのためのソナタ”だよ」


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