EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「あ、あの!カロン様!」
その軍人は黒の軍服に赤いミニスカート姿の女性だった。
見た目は麗しい美女。
腰まである長い白髪が黒の軍服によく映えており、そこはかとなく気品が漂っている。
カロンに話し掛けた彼女は顔を真っ赤にさせながら自己紹介を始めた。
「初めまして!わたくし枢戯野薔薇(くるるぎ のばら)と申しますの。ずっとカロン様の大ファンでして……あの、サインを頂けません?」
「ああ、うん」
ズイと差し出された色紙に慣れた様子でサラサラとサインするカロン。
「やりましたわー!念願のカロン様のサイン!!」
ぴょんぴょんと跳びはねて喜ぶあたり、軍人と言えどもやはり一人の女子だ。
氷河は注意する気も失せて溜息を吐き出した。
「蜜莉~!カロン様のサイン色紙、我が枢戯家の家宝にいたしましょうね!」
「えー、カロンのが家宝になるなら僕のでもいいじゃない。姉さん」