EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


(え…?姉さん?)


小鳥が蜜莉と野薔薇を交互に見遣る。

「へー、あんたか。蜜莉の姉貴って。前に蜜莉から聞いたことある」

「わわっわたくしのことを!?蜜莉!一体カロン様に何をおっしゃいましたの!?」

「うーんと…僕の姉さんがカロンのファンで、僕にサインを貰って来いってしつこいんだよねって。でもいずれ自分で貰いに来させるから、そん時はサインよろしくって」

「じ、事前予約ですの!?蜜莉!わたくしのために!やっぱりあなたは最高の弟ですわ!誰かさんと違って」

喜び全開でギューギュー抱き着いてくる姉に、されるがまま。

蜜莉が呆れ顔で溜息をついた時だった。


「野薔薇、蜜莉はボクのだよ?ベタベタ触らないでよ」


氷河のすぐ後ろにいた軍学校の男子が噛み付くような声を出した。

ダークレッドの綺麗な髪に、蜜莉と同じベビーフェイス。

彼の手には、軍人には似つかわしくない桃色ウサギのぬいぐるみが握られている。


< 363 / 505 >

この作品をシェア

pagetop