EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「……いいだろう。引いてやる」

息を吐き出して氷河は冷静になるよう努めた。

「千夜、紫音、武器を下ろせ。それからお前、これを外せ」

偉そうな態度でカロンに手錠を突き出す。

「ん」

相手に殺気がなくなったのを見て、カロンは素直に手錠のカギを取り出した。

氷河と紫音の手を解放してから白魔達も自由にする。

拘束を解かれた氷河は刀を鞘におさめると、赤い瞳で小鳥とクラヴィエ家の六人兄弟を睨んだ。

「覚えておけ。俺達は人間を受け入れない。いずれ櫻井小鳥を支配し、人間との共存など幻想でしかありえないと教えてやろう」

「ふざけんな!小鳥には牙一本触れさせない!!」

噛み付く勢いでルカが怒鳴る。

「ふっ、俺達相手にどう出るか、見物だな」

その台詞を最後に彼は背を向けた。

離れていく軍人達。

その後ろ姿を見つめながら、小鳥は恐怖で肩を震わせた。


――いずれ櫻井小鳥を支配する


宣言されたことが信じられない。


(私、あの人達に狙われるの…?)


爆弾で殺されかけた現実を思い出し、顔が青ざめていく。

すると、ギュッと手を握られた。


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