EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


 無理矢理気絶させられた小鳥だが、割とすぐに目を覚ました。

しかしすでに手足はグルグル巻きに縛られており、荷物運搬用の車に積められた後だったため身動きがとれない。

しかも口は布で塞がれている。

助けを呼ぶこともできなかった。


(ここ、どこ…?真っ暗…)


横に寝かされていたため身体を起こそうとするも、車の揺れが邪魔をする。


(動いてる…?車の中、なの?)


それなりにスピードが出ているようだ。

どこへ連れて行かれるのかわからず恐怖感が押し寄せる。

誘拐犯に捕まったのだろう現実に、小鳥の身体はカタカタと震え出した。


(助けて…!ルカくん!カロンさん!)


ギュッと目をつぶった、その時。


突然、物凄い音を立てて車が急停止した。


(うあっ…!)


衝撃により、壁に身体を強く打ち付ける。

揺れは止まったが動けずにいると、いきなり柔らかな明かりが視界に入ってきた。

車のドアが開かれたようだ。


「ほう…これはこれは」


耳に届いた声は聞き覚えがあった。

恐る恐る開けられたドアの方を見ると、そこには黒髪の青年。

「昨日ぶりだな。クラヴィエ家のお姫様」

ニヒルに笑う魔冬氷河がいた。







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