EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
驚きながら、ふと逆五芒星の扉を見た。
「あ!ドアが!」
右に回転しているため、逆五芒星の扉は左へ消え去り、右側から新たな扉が出現した。
その扉に描かれているものは顔がいくつもある気味の悪い真っ黒な化け物だった。
しかも絵は逆さまに描かれている。
「あ…止まった」
新たな扉の出現により回転は停止。
小鳥は驚き顔のまま説明を求めて氷河を見上げた。
「この建物は階ごとに回転する。回転は規則的だが複雑すぎるから馬鹿には覚えられないだろうな。タイミングを逃すと入りたい扉になかなか出会えないぞ。気をつけろ」
「ま、回るって…建物が…!?そんなこと…!」
「有り得るんだ。真ん中の螺旋階段を軸に廊下と教室が床ごと回っている。壁は二重になっていて、内側の壁のみ回転している。扉は外側の壁についているから固定だ。これだけ言って理解できなかったら諦めろ。扉が時間で入れ替わることだけ覚えておけ」
説明を聞き終えてから、小鳥は気味の悪い絵の扉を見つめた。
「じゃあ…あのドアは、もう外に繋がるドアじゃないってことですか…?」
「フッ、理解が早いな。その通りだ。あの扉はタロットカードの“逆位置の悪魔”。入ったら地獄の苦しみを味わうことになるぞ。侵入者用にトラップが仕掛けられている部屋だからな」