EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
とんでもない所に来てしまった。
そう思い、ゴクリと唾を呑む。
不安げな表情の小鳥を一瞥すると、氷河は細長い廊下を歩き出し、中央にある螺旋階段の前で止まった。
「来い。階段を上がる。グズグズするな」
黒いコートを羽織った軍人に威圧感たっぷりに睨まれては、素直について行くしかない。
「どこへ行くんですか?」
階段を上がりながら尋ねると、前を向いたまま氷河が答えた。
「最上階にある俺の寮だ」
そのままスタスタと階段を上がっていく。
置いていかれないように小鳥はスピードを上げたが、全くペースを乱さない氷河に合わせていたせいで、だんだんと息が切れてきた。
「あ…のっ…まだ、ですか?」
「なんだ?この程度でバテたのか?現在地は九階だ。最上階の十一階まであと僅かだぞ」
もう少しと聞いて小鳥が表情を明るくした時だった。
「あ、氷河。戻ってきてたんですね」
九階の廊下から男子の声が飛んできた。
螺旋階段の途中で立ち止まった小鳥と氷河が同時に声の主を見る。