EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
窓のない個室。
部屋の中央には小さな丸テーブルと椅子があり、壁には等身大の鏡がかけられ、その隣に木造の衣装ダンスが並んでいる。
(ここ、どこだろう…?)
横たわっていた小鳥は起き上がろうとして違和感に気づいた。
「あの…静理さん」
「ん?何かな?」
「どうして私は、柩(ひつぎ)の中にいるんでしょうか…?」
「それは、柩がベッドだからだよ」
笑顔でそう答えられ、小鳥は目眩を覚えた。
(吸血鬼の屋敷だから、ベッドが柩なのかな…)
蓋つきの黒い柩。
中にはちゃんと赤いシーツに包まった布団が敷いてあり、寝心地は悪くない。
でも、やはり普通のベッドが良かった。
「ここは?」
気を取り直し柩から身体を起こす。
部屋には自分と静理しかいない。
「君の部屋だよ。勝手に決めてしまったけれど、いいかな?」