EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「自殺しろ」
「なっ…!?」
「自殺すれば俺達の仲間入りだ。歓迎しよう」
「そんなことできません!」
怖くなり、目の前の胸板を強く押して後ずさる。
ソファーの端っこに逃げた小鳥は恐る恐る尋ねた。
「どうして…自殺なんですか?」
「闇人…お前達にとっては吸血鬼か…その歴史を知らないのか?非業の死を遂げた者や自殺者から吸血鬼は生まれやすいんだ。まあ、自殺すれば百パーセント吸血鬼になれるわけでもないがな」
日本では年間何万人もの人が自殺で亡くなっているという。
自殺者が全員吸血鬼になっていたら今頃地上は吸血鬼だらけだろう。
小鳥が考えてゾッとしていると、氷河がポケットから短剣を出した。
「なんにせよ、一度死ぬ必要があることは確かだ」
彼はその短剣を小鳥の傍にポトリと投げ落とす。
「それを使え」
「…っ!?」
本気だ。
この魔冬氷河という闇人は本気で小鳥に自殺を促している。
狂気的に輝く彼の赤い瞳が追い詰めるように小鳥を見下ろした。
(自殺なんて…したくないよっ…!!)
顔から血の気が引いていく。
短剣を拾えずにいたその時――。