EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「ダメですー!!氷河さま!!やめて下さい!!」
バンッと音を立ててリビングの扉が開かれた。
叫びながら入ってきたのは小柄な黒髪の少女。
(だ、れ…?あの子も…ここの生徒?)
軍服にブルーのミニスカート姿。
間違いなく軍学校の生徒なのだろうが、野薔薇のようにキリッとした女性軍人には見えない。
守ってあげたくなるような可愛らしい雰囲気なのだ。
「月那(つきな)!?」
慌てた様子で反応した氷河がソファーから立ち上がる。
そんな彼に月那という少女は飛びついた。
「氷河さま!!櫻井小鳥ちゃんを死なせないで下さい!!あんな怖くてツライ思いをさせるなんてダメです!」
「月那…」
過去を思い出して切なげな表情をした氷河。
しかし、それも一瞬だ。
「お前、授業はどうした」
「ギクリ」
「確か今の時間は爆発物処理の授業だろう」
「うう……じゅ、授業より人命救助が優先です!レオくんに聞いて走ってきました!間に合って良かったです」
無垢な笑顔を向けてくる少女にエリートは深い溜息をついた。
「……なあ、月那。今の俺は授業をサボタージュした躾のなってないウサギにお仕置きしてやるべきなのか?それとも、やっと自ら俺に抱き着いてきた恋人にキスをしてやるべきなのか?どっちだ選べ」
「ど、どっちも違います!」