EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「恋人…?」
会話に置いてかれていた小鳥が目を点にする。
すると、氷河が月那を抱きしめながら自慢げに言った。
「月那は俺の婚約者だ」
「お、恐れ多いですー!」
「何を言っているんだ、今更」
さらにギュッと抱きしめてくる氷河を月那は力いっぱい押しのけた。
そして小鳥の手を握る。
「小鳥ちゃん!逃げよう!」
「へ?」
「こっち!」
こっち、と言ってリビングの隅にある下りの螺旋階段を目指す。
「こら待て、月那!!」
「ごめんなさい氷河さまはついて来ないで~!!」
月那と二人、一つ下の階に下りると、正面に見えた個室に駆け込んだ。
バンとドアを閉め、内側からカギをかける。
「ふう…これで大丈夫」
安堵して小鳥の手を離した月那はハニカミながら自己紹介を始めた。
「あの、はじめまして。月那っていいます。小鳥ちゃんだよね?昨日、とっても可愛いドレス着てたの見たよ」
「あっ、はい!助けてくれてありがとうございました」
ペコリと頭を下げる小鳥。
月那は照れまじりに微笑した。
「私に敬語なんて必要ないよ。今日はどうしたの?氷河さまに誘拐されたとか?」