EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
誘拐と聞いて苦笑する。
「ううん。違う人に誘拐されかけたところを…助けてもらった、のかな…?」
「氷河さまが人助け?すっごく珍しい!氷河さまは人間を嫌っているから…」
悲しげな表情で月那は俯いた。
「さっきは氷河さまがごめんなさい。死ねって言われたんでしょう?」
「なんで…わかって…」
小鳥が目を見開く。
すると、月那はポツリと呟いた。
「私も…言われたから」
俯いていた顔を上げ、小鳥の目を見つめる。
「私はね、もともと人間だったの」
小鳥が息を呑んだ。
「氷河さまに自殺しろと言われて…その通り死んだから、黄泉帰り(よみがえり)の闇人になったんだ」
「黄泉帰り…?」
「死んでから闇人になる人間のことだよ。氷河さまみたいに生まれた時から闇人じゃないから、黄泉から帰ってきた闇人って言われるらしいの」