EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
さてその頃、白魔とフェオドールは二階の教官室前にいた。
「白魔…どうしてここに?」
「少し考えればわかるでしょ」
白魔はクツクツと喉で笑った。
「生徒の寮だよ?教官なら場所を知ってて当然さ」
「ああ…成る程。教官から聞き出すのか。だが、簡単に教えてくれるとは思えないんだが」
「うん。確かにね。だからさフェオドール。君と僕で女性教官を誘惑するんだよ」
「は…?」
本気で驚いたフェオドールが固まって目を見開く。
白魔は悪戯を企む子供の目をして弟の綺麗な顔を覗き込んだ。
「僕達二人に迫られて落ちない女性なんかいないさ。情報を聞き出すには色仕掛けが一番だよ」
「……あまり気が進まない」
「小鳥のためなんだよ?」
「………っ」
なおも渋るフェオドールに白魔は小さく溜息をついてから、こんな提案をした。
「ならさ、勝負しようか」
「勝負…?」
「先に女性教官を陥落させて情報を引き出した方が勝ち。ご褒美に一回だけ小鳥を吸血する権利を得る」
フェオドールの青い瞳が揺れた。
「僕が勝ったら遠慮なくプリマドンナの血をいただくよ。彼女の血を僕に吸われたくなかったら……僕から権利を奪ってごらん」
ニヤリと笑う白魔。
フェオドールの目つきが真剣なものに変わる。
「わかった。その勝負、受けよう」