EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「ねえ、なんでこの学校にはエレベーターがないのさ。無駄に疲れたんだけど」
「やっぱ百歳のジイさんに階段はキツかったか」
「カロン、こっち来なよ。切り刻んであげる」
そんな会話が階段から聞こえてきた。
(この声、白魔さんとカロンさん!?)
幻聴かと思い、慌てて螺旋階段の方を見る。
「小鳥!!」
先頭を駆けて来るルカ。
その後ろには安心できる義兄弟達の姿。
目にした瞬間、小鳥は思わず椅子から立ち上がった。
「ルカくん!皆さんも…!」
喜びも束の間。
背の高い氷河がルカと小鳥の間に立ち塞がった。
「邪魔だ魔冬氷河!小鳥を返せ!」
吠えるルカに氷河はニヒルな笑みを浮かべる。
「ここまで辿り着けたことは褒めてやろう。だがあの人間は渡せないな」
「ふざけんな!!」
ルカが拳を握った。
と、その時。
「おー、小動物が増えてる」
何気なくカロンが小鳥と月那に手を伸ばした。
おそらく二人の頭を撫でようとしたのだろうが、月那へ向けられた方の手は触れる前に勢いよく弾かれた。
――パンッ
乾いた音が響く。
「月那に触るな!!」
カロンの手を撃退したのは氷河だった。